文と写真/石亀泰郎 |
ようやくぼくの写真で制作した2002年のカレンダー「やあ小さな仲間たち」を積んだ山が小さくなった。市販していないので、欲しい人にぼくから送っているところなのだ。発送が終わると、もう暮れの気分。 世界の子どものを撮ったカレンダーづくりは、今回で26年目になる。「やあ小さな仲間たち」というタイトルは朝日新聞の日曜版の連載が始まるときにぼくが付けた。カレンダーも同じタイトルを使い、撮り続けている。日曜版連載の最終回327回目は、パプアニューギニアの男の子二人が、手を振ってさよならをしている写真だ。長期連載を楽しんでくれた読者にさようならをいうつもりで使った。もちろん、本当は子どもがぼくにさよならをしているところだ。二人とも笑っているが、よく見ると目に涙が光っている。パプアニューギニアの旅はこころに残っている。セピック河畔の村々を小さな船で訪ねた。蚊がすごかった。河っぷちを歩くと体中にたかる。走って逃げると蚊のトンネルが出来上がった。
船には、燃料油のドラム缶を一本積み毎日走り回った。操縦してくれたのは土地の若い男だ。二人の子どもは、そんな船にもぐり込んで離れない。そしていつの間にか有能なぼくの助手になってしまったのだ。
もう帰らなくてはならない日になって、二人はベソをかいて離れない。船に乗ったぼくは物すごい顔で二人を笑わせながら別れたのだった。小さな仲間を訪ねる旅はまだ続いている。
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